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春が終わるころ
高原の森の小径を歩いていて
ところどころ雪が残っているのを見つけた

日陰ではあるが
あと数日もたてば
それは
落葉松林の土の中に
溶けて消えてしまうだろう

近くに寄って覗き込むと
その上には植物の枯れた葉や
小さな枝のかけらなどが散らばって
陰影が美しかった

つい春先まで雪は広大な一枚のキャンバスで
森のひと冬の巨大な肖像をその面に
人知れず写しとっていたに違いない

足下に消えゆくこの小さな雪の絵は
それのほんの
断片にすぎないのだ